デスクトップ型光造形方式3Dプリンター! ローランド ディー. ジー.から新提案
ローランド ディー. ジー.社は、デスクトップ型の光造形方式3Dプリンター「ARM-10」と小型3D切削加工機「SRM-20」の2機種を発売しました。
四半世紀にわたり3D切削加工機を展開してきた同社が、ついに3Dプリンター、しかもデスクトップ型の光造形法式のものを世に送り出されるということで、私たちも製品発表会にお邪魔させていただきました。
Shade 3Dプロデューサー:坂口秀之
Shade 3D ver.14は、3Dプリントアシスタント機能を搭載。
3Dモデルが3Dプリントでエラーにならないよう、完全自動エラー箇所チェック&半自動で修正ができます。
ローランド ディー. ジー.さんと言えば、お手軽でお求めやすい小型3D切削機「iModela」でおなじみです。
同じようにより広く3Dの普及を目指すShade 3Dも度々コラボレーションをさせていただました。
あるときは、「ROBOTICS;NOTES (ロボティクス・ノーツ)」の「ガンヴァレル」立体化をさせていただき・・。
またある時は、ワンフェスで共同展示のスペースをいただきました。
本年冬のワンフェスでは、昨今の擬人化キャラの常識をうちやぶる中年男性型3D切削キャラクターiModelaマンと、Shade 3Dの神様 園田浩二の初めての共同作業が実現してしまいました。
また、iModelaセミナーでもShade 3Dのご説明をさせていただくこともしばしばあり、そのような機会をいただく度にShade 3Dとローランド ディー. ジー.製3Dツールの相性の良さには確かのものを感じます。
「monoFab(モノファブ)」シリーズの発表
さて今回の新機種ですが、新シリーズ「monoFab(モノファブ)」シリーズとして3Dプリンターと3D切削加工機の2機種が発表されました。
3Dプリンターと3D切削加工機はそれぞれ一長一短です。
3Dプリンターは切削加工機や金型製造など他の手段より工夫無しで自由な造形が可能ですが、サポート材や熱収縮(これは金型も同じですが)などの後々の処理のハードルがあります。
今回の新機種は光造形方式で普段ご紹介している熱用積層方式とは別のものですので、表面がきれいになりますし変形も比較的少ないとても優秀な方式です。
3D切削加工機の方は、一定の方向から材料に刃物を当てて立体を削りだすので思い通りのカタチを作るのには刃の入らない部分を考慮した工夫が必要ですが、表面の仕上がりはきれいですし熱収縮もなく、ロストワックス鋳造などでよく活用されます。
製造を見据えた試作型制作として切削加工機を使用する方が多く、また歯科系の医療用途でも3Dプリンターではなく3D切削加工機が活躍していることが多いようです。
そんな特製をもつ2つの3Dツールを両方を合わせて「monoFab」として発表したのは、「削る=切削、盛る=積層というものづくりの基本となる2つに、ものづくりを楽しむ“Fab”のコンセプトを加え、次世代のデジタルものづくりを提案したい」というローランド ディー. ジー.さんのものづくりへの意気込みがあってのことです。
デスクトップ型で3Dプリンターと3D切削機を両方展開する企業は世界初ということになり、前人未到のものづくり支援の領域にむけて期待が高まります。
気になるお値段ですが、光造形方式3Dプリンター「ARM-10」が68万円(税抜)。
3D切削加工機「SRM-20」が48万円(税抜)。
個人の趣味では手がでづらい金額ではありますが、造形や施策に関わるお仕事をされている方なら個人事業でも手が届く範囲。
従来の光造形法式の3Dプリンターが、大きな事業計画でもないととても手が出ないハイエンド業務向け機器であった事を考えると、3Dプリンター普及が大きく進んでいることを実感させられる価格帯です。
会場では、「ARM-10」でhanakoを出力したサンプルを展示していただいていました。
やはりいつもの熱溶解積層型より断然きれいな仕上がりです。
ローランド ディー. ジー.さんではきれいに仕上がる光造形方式を、さらに紙ヤスリで表面処理する方法を具体的に紹介されており、アウトプットの活用を広げていくことにも積極的です。
磨ききった造形はこのとおりの仕上がり!
実は、先日の夏のワンフェスでもhanakoサンプルを展示いただいており、ローランド ディー. ジー.社ブースには大変な人だかりができていました。
そして付属のアプリケーション「monoFab Player AM」がきっちり開発されてます!
サポート材を手動で編集できる上、3Dプリント時の造形の成立可否をシュミレーションする機能も搭載しているので、
シュミレーションと手動調整を行き来すれば見せたい面はきれいなままキチンと成立する3Dプリントが確実にできます。
同社がまさに市場をリードしてきた熟練のデスクトップ型3D切削加工機「SRM-20」では、使いやすさが進化しました。
なんといっても切削加工機のストレスは”騒音”。
3Dプリンターなら機械が動く音だけですが、切削加工は削りですので非常に大きな音が出てしまいます。
デスクトップ型は、工場ではなく「部屋」で使用できる利便性を活かしていきたいところですので、これまでも実は騒音はクリティカルな問題でした。
そこは老舗メーカーの底力で、今回の新機種では騒音対策、耳障りにならない”削っている”を実感できる心地よい音にこだわった製品になっています。
「騒音に悩まされない」、また同様に切削加工機で求められていた「粉が漏れない」という使い勝手を大きく向上しました。
四半世紀にわたり「デスクトップファブリケーション」のキーワードで3D造形を牽引してきたパイオニアならではの進化が感じられます。
「より人間的、文化的なものづくりを」、「ワクワク感・ドキドキ感を味わってほしい!」と語る同社の理想が結実した製品を見せていただき、毎日3Dに携わっている私たちもまた改めて熱い気持ちにさせられました。
(文:坂口秀之)