3Dでオリジナルミニ四駆づくりに挑戦! Fabミニ四駆カップ参戦レポート①
先日ご紹介しておりましたFabCafeさん主催のFabミニ四駆カップが、ついにこの8/31で本番を迎えました。
私もミニ四駆初心者ながら参戦しましたので、その熱すぎた闘いをレポートしていきます。
Shade 3Dプロデューサー:坂口秀之
Shade 3D ver.14は、3Dプリントアシスタント機能を搭載。
3Dモデルが3Dプリントでエラーにならないよう、完全自動エラー箇所チェック&半自動で修正ができます。
今回のFabミニ四駆カップでは、Fabツールを使った自由度の高い改造が認められていました。
Fabツールというのは、おなじみの3Dプリンターだけではなく、レーザーカッター、カッティングマシン、3D切削機など、「デジタル⇒実物」なものづくりを可能にする様々なツール達のことです。
上手な方がFabツールを使いこなすと、ちょっと意外なほどおしゃれなデザインのオリジナルグッズが作れてしまいます。
たとえばFabCafeさんで作られたグッズ作例の数々がこちら。
Fabツールによる作品たち、皆さんのイメージしていた"手作りグッズ"の出来映えをかなり上回っていたのではないでしょうか?
Fabツールにはそれぞれ底知れぬ可能性を感じますが、そこは私たちも3Dソフトメーカーです。
様々なツールがある中でも、今回はガンと3Dプリンターだけの一本で勝負に挑んでいきます。
そこで今回は私が3Dモデルを作って参戦しようとかと考えていたのですが、大会の話をShade 3DクリエイターのIKEDAさんに漏らしたところ立ちどころに太刀打ちできないクオリティのオリジナルミニ四駆ボディのデータが送信されてきました。
何故か完全にでき上がっています。
そしてかっこいい。
どうもIKEDAさんはひどく重度なミニ四駆マニアだったようです。
IKEDAさんの話を聞きいてみると、マニアックすぎて何を言っているのか全く分からない珍事態に発展したのでともかくIKEDAさんのデータで大会に出場することにしました。
ちなみにですが、元々自分で作ろうとしていた私のデザイン案がこちら。
脳内の段階では非常に洗練されたデザインでしたが、どういうわけか紙に描いてみると後に大会会場で出会う事になるダイオウグソクムシ四駆に酷似しています。
またしてもダイオウグソクムシネタになってしまうネタかぶりは避けるべき。回避策として私の3Dプリント最高傑作を活用した「いぬ四駆」の開発に着手するという二段構えの戦略でしたので、どちらにしろ解決の見込みがありませんでした。
そんな劣勢の中でしたが幸運にもIKEDAさんからソリューションが降ってきましたので、まるで想定になかったハイクオリティボディで大会に参戦できそうです。
しかし、今回は実際に走って戦うミニ四駆です。
すんなりデータが手に入ったから「出来上がり」という事にはなりません。
3Dデータをプリントして一発でシャーシ(ボディの下側の本体部分)とかみ合う訳もないですし、走っても壊れない強度が出るように実験したり、きれいにサポート材をとるための試行錯誤が必要になります。
とりあえず一回ボディのデータを3Dプリントしてみました。
でました。これが現場の苦労です。
生みの苦しみというものでしょうか?
これは設定や配置、素材選定が悪かったのですが、造形物のデザインと3Dプリンター機種との相性も良くはなかったので、次は3DプリンターをMakerbot社製のReplicator 2に変更して再チャレンジします。
Makerbotはデスクトップ型の個人向け3Dプリンターでは世界トップシェアの大手ですが、日本ではほとんどお店に置かれていません。
性能面では、世界トップシェアは伊達ではなく、表面の正確性と造形物の強度、安定したプリント結果については一番ではないかと思います。
今回はボディが薄く、しかもレースで走らなければならないので強度的にMakerbotが有利かと判断しました。
再チャレンジでは、素材をABSからPLAに変更(この機種だと元々PLAのみ対応ですが)、斜め配置はやめて普通に平置きに変更、プリントに時間がかかりますがヘッドスピードも急がず噛み合わせチェックの為に精度も高く、、すごく時間がかかりましたが結果がコチラ。
出来ました!
3Dプリント結果としては問題ありません。
次は、恒例のサポート材剝がしの作業をたしなみます。
これでようやくシャーシとの噛み合わせなどモデルデータ修正のための検証を始められます。
調べてみると、やはりシャーシとの組み合せはぴったりではなく内部の三カ所でボディとシャーシが当たっていて、完全には閉まりませんでした。
また、いくつかボディが肉厚が薄くなって、すり切れた穴のようになっている箇所があります。
肉厚が薄くなってしまう問題は、もともとの3Dデータの時にサブディビジョンサーフェス機能(サブデビ)で丸みをつけているために起きています。
複雑なカタチの「板」になってるこのボディだと、位置によってサブデビの影響が過剰にでて肉厚が足りなくなってしまうようです。
見て原因がすぐ判断できる問題ばかりだったのが不幸中の幸いです。
早速データを調整して再プリント。
調整は数回しましたが、その度にサポート材をバリバリ引きちぎるプレイを楽しめます。
サポート材についてはカッターとか彫刻刀で苦労している方がいるかもしれませんが、サポート材剝がしはニッパーが最強です。
ニッパーで引きちぎって、きれいにするところだけデザインナイフで調整してます。
そんなこんなでようやくボディが完成!
走行テストもバッチリでした。
試行錯誤も含めて何色かパターンも作れて大満足です。
また、今回はストラタシス・ジャパンのご協力で業務向けのハイエンド3Dプリンターでのテストプリントもいただきました。
個人向け3Dプリンターと違い、最初から表面がツルツルにしあがったりサポート材のあとなど無かったりとさすがの仕上がりです。
これで大会参戦の準備が整いました。
次回は大会当日の熱すぎる闘いの現場と、他の参加者のオリジナルマシンたちをご紹介していきます。
(文:坂口秀之)
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※「ミニ四駆」は、株式会社タミヤの登録商標です。