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Vol.07 千葉職業能力開発大学校

Shade3D 公式

Shade導入事例インタビュー Vol.07 千葉職業能力開発大学校

今回は、千葉職業能力開発短期大学校(愛称:ポリテクカレッジ千葉)にお邪魔し、住居環境科の佐野 豊先生にお話を伺いました。

職業能力開発短期大学校は、「ものづくり」の第一線で活躍する、即戦力となるエンジニアを育成することをビジョンに掲げている職業訓練施設で、国が全国各地に設置し、厚生労働省が所管しています。

ポリテクカレッジという愛称は、Poly(多様な)+Technic(技術)=PolyTechnic(諸工芸)とCollege(大学)を語源としているそうです。ポリテクカレッジ千葉には、住居環境科の他にも、ロボットをコントロールする技術を学ぶ学科や、国が設置する学科では全国で唯一となる、航空機の整備に関わる学科など、さまざまなニーズに応える学科が設置されています。いずれの学科も、実践的な実習や実験をとても重視していて、すぐに現場で通用する技術者を養成することに注力しているそうです。 

-佐野先生、本日はよろしくお願いいたします。校内のいたるところに作品が展示されていますね!

学生が実習で作った模型や、卒業制作などです。2年間の授業の半分以上は実習や実験で、職業と直結したさまざまな技能・技術を習得していくんです。

その方法は、パソコンや紙の上だけでなく、観察して模型を作り、シミュレーションを行い、実物を建ててみるといった具合に、座学にとどまらない実践的な技術を学んでいきます。 

-実物まで建ててしまうんですか!?初めて知りました。

実際の土地で家を設計する実習科目もあるんですよ。今年は卒業制作で「制御技術科」の学生が風力発電機を作り、うち(住居環境科)の学生がその土台を作りました。そんなに大きなものではないですが、土台が校庭にありますので、あとで見ていってください。

-ぜひ拝見したいです。住居環境科はどんな学科でしょうか?

住居環境科は、建築計画・構造・施工について、基礎から応用までを学んでいきます。私が担当しているのは、木造や鉄筋コンクリートの強度を診断する構造実習などで、地震や台風などの災害に負けない丈夫な建物を建てるための知識・技術を教えています。

-先生の授業で、Shadeはどのように使われているのでしょうか?

のちほど詳しく説明しますね。現在、Shadeの授業はこちらの教室で行っています。今年度から新しいカリキュラムになり、主ソフトとしてShadeを活用する方向でいます。

-ありがとうございます。主ソフト…。すてきな響きですね、ぜひ活用してください!コンピュータ室も壮観な眺めですね

PCやその他の機材も昨年度更新されました。なお、これまでのShadeの授業では3Dグラフィックスのソフトとして、こういう資料を自作して教材にしていました。

【編集部注】先生はそう仰って、62ページもある、詳細に書かれた自作のマニュアルを見せてくださいました。

-わかりやすく書かれたマニュアルですね、操作を着実に進めていけます。

ところで、当時の学生作品は、こちらの、サイドテーブルのようなものでした。

その頃はこういったものを作ることをひとつの目標としていたのですが、今年度からはいろいろと使ってみようと考えています。

-今年度は、どのような使いかたを検討されているのでしょうか?

たとえば、二年生の制作課題で、さきほどの風力発電機と土台を校内に設置するには、学校の許可をもらう必要があります。そのためのプレゼンをするために、(1)イメージスケッチを描き、(2)形状を粘土で作り、(3)設置場所を写真撮影し、(4)画像編集ソフトを使って、形状と合成してみる、といった工程でシミュレーションを行います。土台のコンセプトがまとまったら、今度はSketchUpでさきほどの形状を作成し、どんな感じか見るのですが、この時にShadeのモデリングの自由度や、レンダリングの質感の良さがいかせれば、シミュレーションにもうひと工夫できるのではないかと考えています。
風力発電の土台の設置シミュレーション 実物大で制作された土台

-もうひと工夫とはどのようなことでしょうか?

SketchUpによるモデリング機能は、比較的に簡単かつ容易で良いのですが、ご覧いただいている物のように、直線的なプリミティブな形状だけでは、実体と離れてしまうのではないかと思うんです。図上の直角、直線が、はたして本当にいいのかな、と思っています。あまりにも早くCADに触れてしまう学生は、全部が直線でできていると思ってしまうみたいなんですね。

実際、建物を建ててみると、平面を作るのは難しいものです。ですから、なるべく直線が出ないようなもの、粘土みたいなものから、学生にはスタートさせたいなと思っています。プロダクトのものは平面が出ますが、現場で作るものは、なかなか平面にはできないですから。そうであれば、Shadeを使って、もう少しなかなか直線になりにくい素材の表現をやってもよいのかな、と考えています。

-積み木のように基本的な形ばかりで組み立てた、立体構成のようになってしまう感じですね。

そうですね、現状は、学生の中で机上のデザインと実際との落差が大きすぎる気がします。

また、現代は情報社会ですし、情報化はますます進むでしょうから、いずれは複雑な形状もデジタルのデータになっていかないと、先々での通用が難しいですからね。その前にもうひとつなにか有機的な形を表現できるものかませていきたいなと思っています。

-それでShadeを選んでくださったのですね。

学生には、質感や曲面や立体感などを3DCGで学んで欲しいと思っています。決まった授業時間でできることには限りがありますので、ひとつのゴールは設定してありますが、実習もあって手一杯になってしまう学生もいれば、理解が早くてその先に進みたいと考える学生もいます。

興味を持っていることはどんどん突き詰めていって欲しいので、そこからスタートして、Shadeというツールがあって、学生達が自主的に使おうと思えば、かなり深いところまでいけるんだというのを、見せておいても良いかなと考えています。

また、今年の1年生の授業では、Shadeで本のような形状を作り、表紙に学生のデザインした画像をテクスチャーとして貼ってレンダリングをかけてみようと考えています。

-他にもShadeの良い点がありましたらお聞かせください。

形状にテクスチャーを貼る時に、ほぼ何もわからない人でも完成形をイメージできるところですね。プレビューを見ながら、いろんなパラメータと数値を感覚的にいじっていける良さというのがあって、そこをすごく大切にしたいと思っています。

なんだかんだいっても 学生はすぐ結果が出てこないと興味が長続きしないものですから、そういう意味ではとても良いと思います。

-本日はありがとうございました。

 

インタビュー後記

佐野先生の授業の、鉄筋コンクリートのはり部材の曲げ破壊とせん断破壊の耐力測定のお話も、個人的にとても興味深かったのですが、ここでは割愛いたしました。佐野先生、快くインタビューに応じていただいたうえに、校内の視察の案内までしてくださり、どうもありがとうございました。


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