Shade 3Dユーザー事例インタビュー 2015 アークハウス 今道栄治
今回は、1・2級建築士、インテリアデザイン経験者からなる専任者が綿密な打ち合わせにより解釈した図面を、Shade 3Dで確実にイメージに起こしている「株式会社アークハウス」代表の今道栄治氏にお話を伺いました。
Shade 3Dをいつから、どのように利用されてるのですか?
はじめはインテリアデザインとグラフィックデザインの事務所として、1990年に開業いたしました。当時、図面はドラフターを使い鉛筆で手書き、ボードに画材を使ってパースを描いたり、図面に着色するなどしてプレゼンテーションしていました。そのころようやくグラフィックデザインやイラストレーションの世界でパソコンが使われだしたのをきっかけに、コンピューターグラフィックスの可能性をインテリアデザインにも取り入れる事が出来ないかと、早い段階で業務にパソコンを導入しました。
当時のパソコン(MachintoshⅡ)は今と比べ物にならないほど処理能力が低く、CADや3D CGソフトなどはまだまだパソコンで使えるものでありませんでした。結局、ワープロ代わりに企画書の作成をしたり、図面をIllustratorなどのグラフィックソフトで作成しておりました。そのときもすでにShade 3Dはリリースされていましたが、まだまだとても高価で、ちょっと手の届かないソフトでありましたが、パソコンの処理能力も向上し、ソフトの価格も手頃なもの位なってきたのでShade R1を導入することとしました。
導入当初はまだまだ処理能力が間に合わず、扱えるデータ量も限られていましたが日進月歩とても処理能力もアップし、よりデータの大きなものも扱えるようになり、表現も格段に向上していきました。やがて、デザイン事務所や建築事務所からCGパースの依頼が来るようになり、CGパース事務所として受注させていただくようになりました。
受注のしかたも様々ですが、デザインから一貫してプレゼンテーションを請け負う場合はそれらの全てをShadeで作る事もあります。特に時間のない時などは、Shadeの中でデザインから立体化まで行い、図面からイメージカット、3Dパース、時にはムービーまで作成しボリューム感のあるプレゼン資料を短期間で作成しています。これは、マルチに表現できるShade 3Dならではの機能をフル活用してできる最大の利点だと思っています。
Shade 3Dを選んだ理由を教えてください。
3Dソフトを導入するにあたっていろいろと比較検討しましたが、まずは日本語が使える事、そしてコスト(笑) 高額なソフトはアニメーションに特化していたりするものが多く、静止画を中心とするCGパースの世界とは求める機能が違ったりします。 それと、最初に2Dグラフィックソフトを使っていたことで「ベジェ曲線」が使えるという事にとても大きな親和性を感じました。 何か新しい事を始めようとすると、なるべく操作に違和感の無いものを選ぶ事が導入に失敗しないための一番大事な事だと考えました。
それともう一つの大きな理由として、Shade 3Dの「挿引」「回転」「自由曲面」でものを作っていく過程がとても建築の考え方になじみやすいと感じました。 まず断面の形状があり、それに高さや幅を与える事でものの基本的要素が生まれ、それを組み合わせる事で家具や空間ができあがっていく。 あとは工夫次第で様様な結果が得られる表現力の素晴らしさ。
プログラミングやコンピューターの世界に全くの素人のものでも、まるで筆や絵の具を使って想像する世界を描くようにコンピューター上で表現できるという事は、その世界観や操作性が違和感なく受け入れられるかどうかが、もっとも重要な要素だと考えます。そしてほとんど直感的に、大げさに言えば運命的に出会うべくして、最終的に選んだのがShade 3Dでした。
ほとんどフォトショップなどで後処理せずに、Shade 3Dのレンダリング一本で絵 を完成させているそうですが、作品を作る際に、こだわっていることはありますか?
Photoshopを使い最終処理を全くしないわけではありません(笑) 最終仕上げで、添景物の画像合成したり少し色味を調整したり。 しかし、時間の許すぎりぎりまでShade上で完結させようとは考えています。
コンペでインパクト勝負のプレゼンに使用するとなると、盛大にPhotoshopでエフェクトしたり画像合成したりするのですが、通常の業務で一度パースを出すとそれで終わり、決定ということはまずありません。 何度も何度も変更、修正があり、やっと最終決定案ができます。アングルの調整とか、家具や素材の変更程度で、プレゼン前にまた1からPhotoshopを使わなければ再現できないクオリティーのものというのはとても非効率です。 なるべくそれを押さえるために作り込みは必要ですし、これからますますバーチャルリアリティーであったり、3Dプリンターであったりと3Dコンテンツの有用性がどんどん広がっているときに、コンテンツの将来性を意識する事も大切な事だと考えています。
会社として、製品として、これからのShade 3Dに求めることは?
更なる開発、アフターケアの充実ということと、これからも様々な楽しい企画をどんどん発表していただきたいと思います。 そして、これから3DCGの世界は目まぐるしく進歩していくのだろうと思います。 これからも、いち早く最新技術に対応できる機能をどんどん取り入れていっていただきながら、いらない情報と有益な情報を整理して、ユーザーの指針よりどころとなっていただけたらと思います。
将来のバージョンやアップデータに入れてほしい機能などはありますか。
機能面でいくと、多分私はその100分の1も使っていないんじゃないかと思います(笑) ニーズや使い方に合わせて環境、インターフェイスが自由にカスタマイズできるようになればツール画面を縮小でき、作業画面が大きく使えるようになると思います。あと、CGパースに特化した機能として欲しい機能として、グリッドや定規、出力サイズに合わせた縮尺比率など、スケールやモジュールを意識した機能ができればもっと、使いやすくなると思います。
そして、最近はとてもレンダリングスピードがアップしたのですが、まだまだ早くなってほしいすね。 なんどもレンダリングを繰り返しながら作業を進めるので、レンダリングスピードがアップするととても効率がよくなりますし、動画の制作時間を短縮できます。
これからShadeを使う人たちに(Shadeを使うコツや何か)アドバイスなどはありますか?
アドバイスと言えるかどうかは分かりませんが、自分がCGパースを制作するときは、まず図面をじっくり見て、素材を確認し、ライティングはどうか、どこを中心に見せるべきかを考えます。 そして最初に仕上がりのイメージを固めてから作業を始めます。 図面を見て素材を知った時点でその画像を思い浮かべることができるようになるためには、多くの経験といつもそういったことを意識した目でものを見ることで培われていきます。 そして、多くの空間を体感したり、良い写真や良い絵を見て感性を磨くことも大切です。 CGは空間のデータを忠実に入力するだけでは良いものができません。 CGソフトの高いシミュレーション能力と人間の感性が合わさることで良い絵ができます。 しかし、イメージだけが先攻して雰囲気重視で行こうとしても、それは独りよがりな結果に成ってしまうことがあります。 やはり、完成予想図である事も重視して何を見せるか、時には何を隠したいのかまで考えて作っていくことが必要となります。
CADはあくまで「図面作図支援」であり、CADシステムは何もクリエイティブなものは生み出してはくれません。 しかし、一本の鉛筆と紙があれば無限の創造を「可視化」し試行錯誤できるという事、 それと同じ働きをするのが3Dソフトであり、ときには創造のヒントも与えてくれます。
たどり着くのはありきたりなテクノロジー論ですが、3Dソフトをプロの道具として、使う側としての意識を持ち、決してテクノロジーに使われることなく、使いこなせていけば創造性は無限に広がることと思います。
Shade3D マーケットプレイスに出店されるそうですが、どのような商品を出店される予定ですか?
CGパースで簡単に利用できる家具や小物のデータであるとか、それぞれのジャンルでセッティングされた空間のフルデータを提供していこうと考えています。 CGパースで、一番苦労するのがレンダリングの設定であるとか素材、ライティングの設定です。 最終イメージを完成させる上での 再短時間で最良の結果が得られるようなレンダリングの設定方法であるとか、 カメラアングルの取り方、ブラウザでのまとめ方、ライトの構成配置の仕方など。 実際の業務で参考にしていただけるような実践的なデータが出せればと思います。 もちろんこれが全てではありません。ここから新しいヒントを得ていただいても良いし、そのままデフォルトの設定としていただいても使える、長年のノウハウが詰まったデータ集が作れればと思っています。
お忙しい中、貴重な時間を割いていただきありがとうございました。
Shade 3Dについてご興味がある方は、無料体験版を用意していますのでぜひご利用ください。