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3Dプリント講座第三回:個人向け3Dプリンターについて②

Shade3D 公式

第三回:個人向け3Dプリンターについて②

FDM方式の3Dプリンターの機種間の違い

次にプリンター選択の重要な条件として、性能としての検討点を順に解説してみましょう。

● ヘッドの数

シングルヘッドとダブルヘッドのものがあります。

シングルヘッド
シングルヘッドにもPLAとABS兼用ができるものと、PLA専用のものがあります。専用ヘッドの方がノズルが詰まりにくいように感じます。

シングルヘッドで兼用のものは、フィラメント素材のリールをかけ直すことで、PLAとABSのどちらも出力できますが、プリント途中で素材を変えることができるものはまだ無いようです。PLA専用ヘッドのものは、ABSは上位のダブルヘッドの機種でないと使用できませんが、その分最適化されていて安定出力できるようです。(両者では融解する温度や粘性が違います)

シングルヘッド


ダブルヘッド
マルチヘッド(コンシューマ用ではダブルまで)機種では、積層の途中で素材や色を変えることができます。
また、ラフト(底面部の凸凹を吸収するベース成形部分)やサポート材(中空にいきなり樹脂は積層できないので、その下支えをするハシゴのような成形部)の後から除去しなければならない部分のみ、より簡単に取り除きやすい材質に変えることができます。
このように様々な応用が効くようになりますが、装置はより高額になります。

メーカーによってはヘッドをオプション製品にして、同一機種に後から増設できるようにしているものもあるようです。業界の競争が早いので、製品仕様や新素材リールのリリースは刻々と状況が変わります。また急に需要が高まっている分野なので、製品在庫が無い場合もありますので、よく調べておきましょう。

ダブルヘッド

● 積層ピッチ

大体0,1mmか0,15mmで揃っているようです。中にはもっと細かいピッチが設定できるものもあるようですが、一概に積層ピッチの差が性能に直結しているとも言い難く、より細かい方が平均的に良いけれど、ヘッドの移動速度の可変コントロールや、ヘッドのドライブ精度の高さにより、0,15mmでも綺麗な成形をする機種もあるようです。

またフィラメントにグロス素材よりもマットな質感のものを選ぶと、積層痕も目立たなくなりますので、機種間の比較をする場合は、なるべく同じ質感の樹脂同士で見比べると良いでしょう。

● ステージのヒーターの有無

ステージにヒーターが入っているものは、ステージにコード類が付いているのですぐに判ります。この手のものは融解したフィラメントをステージに定着しやすくするためと、完成時に熱を加えてモデルを剥離しやすくするために、ヘッドの予熱時間とは別にステージの予熱時間がかかります。剥離後に残った樹脂をヘラで除去するのは、ジェルやシートタイプより手間がかかるようです。またステージを予熱せずにヘラだけで剥離しようとすると、かなりの力が必要になるでしょう。

常温で使用可能なものは、フィラメント定着と剥離用を兼ねたジェルやシートを利用するタイプが多く、ヒーター等は内臓していません。ジェルやシートを利用しなくてもステージ面に凸凹のモールドがしてあるものは積層可能ですが、かなり圧着してしまいますので、ジェルかシートのどちらかを利用した方が良いでしょう。

● ヘッドとステージの動き方の違い

ヘッドとステージの動き方に2種類あります。

ヘッドは左右にしか動かず、ステージが上下と前後に動いて積層するものとヘッドが二軸の平面内で動き、ステージは上下昇しかしないものです。

前者は、ベースの土台やフレームが金属製でどっしりしているものだと、ステージのように大きな質量のものが移動する際の振動も伝わらず、まずまず安定した積層が成されるのですが、軽量なものだと、ステージ移動の振動が筐体全体に伝わりやすいので、多少精度が落ちる嫌いがあるようです。使用の際にはしっかり固定された水平面に置いて更に機材を固定するような工夫が必要でしょう。

後者はステージ自体が上下昇しかしないので、大きな振動はなく、概ね安定しています。

● ヘッドとステージ間のクリアランス(間隔)調整

自動で間隔をキャリブレーションしてくれるものと、ステージ台座の数カ所のネジ絞めか、液晶タッチパネルのUIによって調整するものに分かれます。
ただし、機材を移動しない限り、頻繁に調整する必要はなく、積層が崩れた時にチェックする位で大丈夫です。

クリアランス調整は、広過ぎると液ダレを起こしやすくなり、狭過ぎると積層物とヘッドの接触による破壊が起こりやすくなるので注意しましょう。 

● 造形精度

積層ピッチとは違い、ステージ平面内での定着寸法の精度のことですが、これを数値化してスペック表示しているメーカーはほとんどありません。

駆動ベルトが緩んでいると稀に滑って誤差が出るので、テンションを適正に保つ必要があります。ですが、一度調整してしまうと、機材を輸送したりしない限り、頻繁に調整し直す必要はありません。

● ヘッドレスでプリント動作するか、コンピュータが必要か

USBメモリやSDカードなどのメディアに加工用ファイルを保存して、それを3Dプリンターに差し込んで動作させるものと、コンピュータから無線LANもしくは有線でつないでプリントするものがあります。

メディアに保存するタイプでも、コンピュータ側よりプリンターユーティリティを用いて、無線LANや有線LANでプリント指示を送れるようになっていますが、3Dプリンターメーカーもメディアに保存してヘッドレスでプリンタだけで動作させることを推奨しているようです。

理由は、通信状態が何らかの理由で中断した場合のプリント停止事故を防ぐことができるためです。

多くの家庭用3Dプリンターは、中途でプリントが停まった場合、続きから再開することはできません。

パソコンがフリーズする。ケーブルが抜ける、通信障害が起こる等、いろいろパソコン側のトラブルはありますので、プリンター単体で動作した方が安心感はあります。

またメディアに加工ファイルを保存するタイプのものは、プリンターユーティリティソフトが、Mac版も用意してある場合が多く、プラットフォームにより利用できない等の問題も少ない利点があります。

 

かなり前振りが長くなりましたが、次回はいよいよ3Dプリンターを動作させてみて、運用上のメンテナンスの問題点と、データ作成に必要な注意点に移ります。お楽しみに!

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