Shade3Dマーケットプレイスにコンテンツを申請しよう(3)
~第3回「ライセンスの種類」
今回は、コンテンツを提供する場合のライセンスの提示のついて説明します。
コンテンツ提供形態は大きく有料/無料に分かれますね。これよりも細かい分類として、使い手側に許可すること/禁止することを「ライセンス」として列挙するようにします。
これは、使用許諾契約書(EULA)とは別に記載するのがいいでしょう。EULAの場合は、どのコンテンツであっても基本的には同じと思われるので一回作成したら後は使いまわせます。
ライセンスについては、複数のコンテンツを提供した場合に条件を変えたいときもあると思いますので、その都度コンテンツごとに提示するようにするのがよさそうです。
コンテンツと一緒につけるreadme.txtファイルと、Shade3D マーケットプレイスのコンテンツ紹介ページに記載するとします。ダウンロード前に確認できる位置にあることが大事です。
ライセンスを提示する意味
このライセンス提示は、使い手側が問い合わせをしなくても二次利用できるか確認したり、製作者のクレジットの記載が必要か、などを把握しやすくする目的があります。
第二回目で著作権について書きましたが、使い手側の立場に立つと「自身の作品で提供コンテンツを使いたいのだけどSNSで公開してもよいのだろうか、スマホのゲームで使ってもよいのだろうか」という疑問が出てくることがあります。
このときにコンテンツ提供者側が「こういう条件で使っていいですよ」と明示してくれると話が早いですよね。
もし、何も書いてなければ使えるかどうかわからずに躊躇してしまうか、「何も書いてないから自由に使っていいんだ」と考えるか、どちらかになってしまいます。
無料コンテンツの場合は、クリエイティブな制作物を公開する際のライセンスの提示の仕組みがすでに存在するため、それにあわせることにします。
なお、これらのライセンスを与える部分は自己申告になり、どこかの機関に登録申請する必要はありません。
ライセンスの種類
まずは無料のコンテンツの場合。
Wikipediaの「クリエイティブ・コモンズ」に詳しく書かれてますのでご参考までに。
Public Domain (無料コンテンツ向け)
第二回目でちらっと書きましたが、著作権を放棄する場合は「Public Domain」というのを使います。実際は国によって異なる部分があり完全には放棄できない場合もありますが、「自由に使っていいよ」と明示的に示すことになります。使用制限は一番ゆるいです。
これは、Creative Commonsには含まれませんが「CC0」と呼ばれます。
以下のようなアイコンをつけるとわかりやすいです。
これは、https://creativecommons.org/publicdomain/ のページより「このツールを利用する」を指定して進めていくと、HTMLのコードが表示されます。
これをHTMLのページに埋め込むことでアイコンが表示されるので、そのコードをShade3D マーケットプレイスのコンテンツ紹介ページのテキストファイルに貼り付けておいてください。
ただ、これだけではわかりにくいので、ライセンス条件を列挙しておくと親切かと思います。
「ミノタウロス」では、以下のように書きました。
※ そのままの形での再配布/再販の禁止、についてはEULAのテキストに書いてますので以下のライセンスとしては記載してません。
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この場合は、「商用利用可」ですので二次利用としてレンダリング作品やゲームアプリで使って販売したり仕事で使ったりできます。
改造や改変も可ですので、一部のテクスチャを入れ替えて使ったり、一部のモデリングデータやテクスチャデータを利用して、新しいコンテンツを作って配布/販売することもできます。
また、作品やゲームなどでコンテンツを利用した場合、コンテンツ制作者に連絡はいらず、制作者クレジット表示も不要です。
ゆるゆるですよね。
このライセンスをあえて与える目的としては、広く使ってほしい場合、マーケットプレイスにコンテンツ制作者を呼び込むため、制作者を認知させるためのいわゆる宣伝に使う、などが考えられます。
コンテンツ「ミノタウロス」は、マーケットプレイス自身にコンテンツを出す場合のチュートリアル的な意味でPublicDomainにしてます。
この1つでも許可しない場合でかつ無料コンテンツの場合は、Creative Commonsのライセンス条件を提示するようにします。
Creative Commons (無料コンテンツ向け)
無料でコンテンツを公開する場合にもっともよく使われるライセンスはCreative Commonsとなると思います。
詳しくは「https://creativecommons.org/licenses/」も参照くださいませ。
Public Domainが著作権の放棄だとすると、Creative Commonsは条件を段階的に追加していくことになります。
Creative Commonsライセンスは著作権者情報を表示することは必須となります。コンテンツ制作者の明示化と、使用する側の条件を明示化して利用しやすくする役割があります。
コンテンツの著作は守りつつ、面倒な問い合わせなどが発生しないようにするライセンスとなりますね。
大きく以下の条件があります。
- 著作権者情報を表示
- 改変禁止
- 非営利 (商用での使用不可)
- 継承
これらを組み合わせたライセンス形態が存在します。
「著作権者情報を表示」で、コンテンツを使用した場合に著作権者の名前を表示する必要があります。これはCreative Commonsライセンスでは必須です。
ですので、仕事でコンテンツ使う場合はCreative Commonsのライセンスのものを使用すると、著作権者情報の記述が発生するため場合によっては使えないこともあるでしょう。この部分は注意してください。
ターゲットは主に個人のクリエイター向け、ということになりそうです。
「改変禁止」は、コンテンツ自身のテクスチャを変えたりモデリングで造型を調整したり、を禁止します。ヘタにいじってほしくないコンテンツの場合などはこれを指定することになります。
「非営利」は、商用利用を禁止します。
「継承」は、コンテンツを改変したものを作品などに利用または、改変して新しいコンテンツを作った場合でも、提供元のコンテンツのライセンス条件を継承することで利用を許可します。「改変禁止」と「継承」は併用できません。
Creative Commonsではこの4つの条件の組み合わせで、以下の6つの分類に分かれます。
- 表示(CC BY)
- 表示-改変禁止(CC BY-ND)
- 表示-継承(CC BY-SA)
- 表示-非営利(CC BY-NC)
- 表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND)
- 表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA)
Public Domainと同じく、わかりやすいアイコンを表示できます。
https://creativecommons.org/choose/ のサイトを進めていくとHTMLのコードが表示されますので、それをShade3D マーケットプレイスのコンテンツ紹介ページのテキストファイルに貼り付けておいてください。
また、Creative Commonsに慣れていればアイコンを見ればどのような条件指定が必要かはすぐ分かるのですが、わかりやすいように、
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※ この場合は、表示(CC BY)。また、Creative Commonsの場合は、使用した場合の著作権者への連絡不要のライセンスになります。
みたいに列挙してあると親切かもしれません。
Copyright (有料/無料コンテンツ)
製品の著作をすべて保有したい場合のライセンスはCopyright になります。ここではコンテンツに限定して記載します。
有料/無料コンテンツどちらでも使用可能です。
このライセンスが与えられている場合は個人で楽しむ場合はいいのですが、公に二次利用した作品で使ったり、改造して使ったり、はできません。もちろん、商用/非商用かかわらず無断で利用することはできません。
提供側としては、連絡を取って使用を許可する(有料または無料で)といったビジネス的な側面が強くなると思われます。
マーケットプレイスのようなコンテンツ提供サイトで使うライセンスとしては、一番縛りがきついものになります。
Copyrightがつくコンテンツは「Copyright (C) 2015 XXX All Rights Reserved.」のように西暦と著作権者を記載します。
これはどういった用途で与えればいいかというと、製品のサンプル形状や個人で私用で試してもらう場合などになりますかね。
企業が自身の所有するキャラクタを3D化してコンテンツサイトに無料または有料コンテンツとして出した場合に、個人以外での利用に歯止めをかける効果が期待できます。
ただ、二次利用できないことになりますので、広く流通させたい場合はいくら出来がよくても「使えない」となる諸刃の剣にもなります。素材集の場合はCopyrightものだと使い手側が躊躇することになるかもしれません。
あっと、ひとつ忘れてました。
Copyrightでも別途与えている条件にもよりますので、著作権は保護されているけどがちがちではない、という場合もあります。
コンテンツサイトで提供する場合は、目的に合わせてPublic Domain/Creative Commons/Copyrightを使い分けるとよいと思います。
有料コンテンツの場合
Public DomainやCreative Commonsは無料コンテンツのためのライセンスの意味合いが強いですので、有料コンテンツの場合は当てはまりません。
でも、Copyrightのようにがんじがらめにしてしまうと使ってもらえない、、、といった場合は独自に使用できること/禁止することを与えるようにします。
マーケットプレイスに公開している「家具パック」を有料コンテンツの例として登録させてもらいました。
素材の場合は作品で使えないと意味がないですので、有料でもライセンスをきつくしてません。
以下のようなライセンスとしてます。
もちろん、コンテンツの種類によってもっと緩くしたりきつくしたりはできます。
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※ たとえば、Shade 3D内だけの使用に限る、という条件にしたい場合もあるでしょう。そのような場合は条件を追加してください。
ライセンスとしてはCreative Commonsと似てますが、あえて「クレジットの表示不要」としてます。
こうすると、たとえば仕事で受けたゲームやアプリでコンテンツを利用した場合でも、制作者のクレジットは記載しなくてOKです。
「二次利用可(商用/非商用問わず)」「改造、改変可」で、有料コンテンツであっても素材を改造して新しいコンテンツを作ってマーケットプレイスで有料公開、これもOKになります。
マーケットプレイスのような場の場合は、他のコンテンツ制作者のインスパイアを受けて別の方が新しいコンテンツを派生的に作って公開する、というのは大いにありだと思います。
有料でも無料でもライセンス条件次第となりそうです。
そういった意味でも、ライセンスの提示は非常に大事です(あいまいにしないこと!)。
商用利用は個人でもよく発生する
コンテンツを使う場合の「商用利用」について、会社じゃなくて個人だから接触しない、ということはありません。
- スマホやタブレットの有料ゲームや有料アプリ(課金含む)で、提供コンテンツを使った
- コミケで作品集を作った際に、提供コンテンツを使った
- 改変可能な提供コンテンツを使って新しいコンテンツを作り、有料でマーケットプレイスで販売した (改変可能のライセンスの場合は、これもOKです)
この場合は、個人であっても金銭的なものが発生しますので立派な商用利用です。
特に無料公開のコンテンツは非営利に限る(もしくは条件が書いてなくて分かりづらい)というのも多々ありますので、個人でも商用利用は十分ありうると考えるほうがよいかもしれません。
「非営利に限る」としてしまうと、特に3Dコンテンツの場合はこの部分が結構ネックになったりします。
ですので、提供側でより多く流通させたい場合は「営利目的でも使用可」のライセンスを与えることは大事かなと思います。
以上、ライセンスについていろいろ説明しました。
第二回目の著作権とあわせて、使用者の立場からと提供者の立場から考えるきっかけになれば幸いです。
Shade3D マーケットプレイスはそれの訓練としても使えると思いますので、コンテンツ提供者として極めていっていただければ。
「Shade3D マーケットプレイスにコンテンツを申請しよう」については一通り解説しましたので、今回で最後です。
最後、文章のみになってしまいましたが読んでいただきありがとうございます。
また思い立ったら何か記事を書くかもしれませんので、そのときはよろしくお願いいたします。
文:ft-lab