アートディレクター 田村吾郎 vol.2
半球状映像システムを開発しているアートディレクター 田村吾郎さん(RamAir.LLC 代表、 WONDER VISION TECHNO LABORATORY 株式会社 顧問)。
その他にもオペラや舞台の演出、映像制作、企業ブランディングなどを手がけつつ、東京工科大学 デザイン学部で空間デザインを教えています。
仕事や授業の中でどのようにShade3Dを使用いただいているのか。そして今なにを考え、何にチャレンジしたいのかを明かしてくれたロングインタビュー。
第2回
WONDER VISION TECHNO LABORATORY 株式会社のスタジオでインタビューを行いました。
驚くほどの臨場感!「Sphere 5.2」を体験
これが半球型映像装置の「Sphere 5.2」です。
写真:中田(165㎝)とモニター(340㎝)との比較
かっこいい!!!想像していたより大きいです!
早速のってみてください。
ということで田村さんに解説いただきながら、体験させていただくことに!
動画にあわせてモーションライドが動きますよ。
※実際体感しないとこの臨場感が伝わらないのですが、体験した方はほぼ全員こういう反応をするとのことです。
すごい臨場感!!リアルなスピードを体感できますね!
そしてVRゴーグルをつけないので隣の人と同じ空間を共有できるというのがとてもいいですね!
なぜこんなにも自分が映像の中にいるような感覚を体験できるんですか?
映像が視界のほぼ全てをカバーしていることと、人間の空間認知のメカニズムを再現しているからです。半球状なのはそのためです
今までにない形状のスクリーンですよね。映し出す映像もこの「Sphere 5.2」専用でつくる必要があるんですか?
「Sphere 5.2」専用で映像をつくる必要はなく、テレビのワイド表示と同じ16:9の映像であればなんでも映すことができます。
特別に製作する必要はないんですね!
はい。デフォルトは4Kプジェクターでの運用ですが、2017年3月から世界に先駆けて8K運用を開始しました。
3Dプリンタでの模型制作
模型作成の際は3Dプリンタを使用したということでしたが見せていただけますか?
まず初期段階では厚紙をつかって作成しました。
その後3Dプリントで出力した模型がこれになります。実際初期から製品に至るまでほとんど形はかわっていません。
この「Sphere 5.2」は、数々のイベントで引っ張りだことのことですが、選ばれる理由はこの臨場感のほかにもあるのでしょうか。
持ち運びが可能なことと、設営も4人で作業して4時間程度で済むので、搬入搬出の時間を大幅に短縮できることも、選ばれている理由じゃないかと考えています。
「Sphere 5.2」と社会との関わり
今後の「Sphere 5.2」の活動について教えてください。
運用から間もなく1年ですが、プロモーションユースでのポテンシャルは十分に実証できました。2018年は、いよいよ開発当初から思い描いてた「社会問題問題解決のプロジェクト」に着手しました。
すでに3つのプロジェクトが進んでいます。
ひとつめは、マイナースポーツの疑似体験やトレーニングを支援するプロジェクトです。日本で唯一のソリ競技施設である「長野スパイラル」が 2018年の2月5日に閉鎖してしまい、とうとう日本でソリ競技が行えなくなりました。そこでSphere5.2を使った訓練シミュレーター、体験装置を作って、普及やPRに役立てようと思いました。実はそのために私も選手登録を行い、ボブスレーをはじめました(笑)。ソリ競技に限らず、様々な競技で「スポーツと人との新たな関係」を模索していきます。
ふたつめは、国立精神・神経医療研究センターの精神科医や、病院の医局などと共同で行う統合失調症の方の認知機能低下の原因究明と社会復帰のための訓練プログラムに関する研究プロジェクトです。
みっつめは、航空機の訓練デバイスの開発です。パイロット不足が深刻なヘリコプターのライセンス取得のサポートプログラムを、航空機メーカー、省庁、運行会社、商社、映像機器メーカー、ソフトウェアメーカーなどと共同で作り上げ、世界中で運用したいと考えています。
他にもたくさん構想があります。
本日見せていただいたようなエンタメ系のみで利用されているわけではないんですね!
私は、テクノロジーやアートを通じて、人と世の中をつなぐ役割を果たしたいと考えています。この「Sphere5.2」を使えば、体の自由がきかない方でも、ご高齢の方でも、小さな子供であっても、空中散歩や海中遊泳、レーシングカーの運転や宇宙旅行だって可能です。
今まで「映像」が成し得なかった臨場感のある「空間体験装置」の活用を通じて、社会の問題解決につながればと思っています。
次回は田村さんが教える東京工科大学の授業の様子をレポートします。
(インタビュアー:Shade3D 中田)
【WONDER VISION TECHNO LABORATORY 株式会社】
Shade3Dについてご興味がある方は、無料体験版を用意していますのでぜひご利用ください。